平成28年 5月  「無財の七施」



  「布施」とは、梵語のdānaを訳した言葉で、見返りを求めず相手に施すことであります。辞書を開いてみても、「清浄な心で人に法や物を惜しまずに施しめぐむこと。また、そのもの。」とあります。お釈迦さまは「無財の七施」という、お金がなくても、物を持たなくても、施しができることを教えておられます。

 

  一、眼施   慈眼施ともいい、慈しみに満ちた優しい眼差しで相手を見ること。人は優しい眼で見つめられると、安心した           気持ちになります。温かい心は、自らの目を通して相手に伝わります。

 

  一、和顔施  いつも和やかで穏やかな顔つきで人に接すること。笑顔は相手との距離を近づけます。近づくとお互いをよ            り多く知ることができます。笑顔の通じ合い。そこからが始まりです。

 

  一、言辞施  愛語施ともいい、優しい言葉、思いやりのある態度で言葉をかけること。言葉は人の心を大きく揺さぶりま             す。一つの言葉が人を落とし入れ、一つの言葉が人を勇気付けます。

 

  一、身施   捨身施ともいい、自分の身体を使って奉仕をすること。一人でできないことも、あなたが手を差し伸べること            でやり通すことができます。ほんの少しと思える手助けも、相手にとっては大きな感謝につながるのです。た           だ見ているだけではなく、自ら進んで行動する気持ちが大切です。

 

  一、心施   他人のために心を配り、心底から共に喜び共に悲しむことができること。感じる心がなければ何も始まりま            せん。自分も困ったように、思い悩んだように、人の支えによって救われることは沢山あります。相手の悩み           を自分のことのように感じ取れる心持ちが大切です。

 

  一、床座施  電車の中でお年寄りに席を譲るなど、人を労わり手を差し伸べる行為のこと。必要に応じて、相手の気持ち           を感じ取ることができれば、今何をすべきかが見えてきます。

 

  一、房舎施  外で凍える人のために、雨風をしのぐ場所を与える。相手に雨がかからぬように傘を差しかける行為のこ             と。「どうぞ。」の一言が、心も体も休める場所を作るのです。

 

以上の七つの施しのうち、たとえ一つでも私たちの生活に活かすことができたなら、どんなに心豊かな生活を送ることができるでしょうか。小さなことから始めていきましょう。

 

 

      私たちは、大きいことはできません。小さなことを大きな愛をもって行うだけです。  マザー・テレサ